我々は、既に1970年に結核性の萎縮膀胱と思われた患者さんの中に、間質性膀胱炎によって生ずる萎縮膀胱が存在することを知りました。 これらの治療経験から、最終的段階に陥る前にできる限り病変の進行を防止することが重要であると考え、その原因を究明すべく、間質性膀胱炎の研究を開始しました。
2000年肥満細胞のサブタイプの検討で結合組織型が粘膜型に比較し圧倒的に多く浸潤していました。 このことは神経末端から分泌された神経伝達物質が肥満細胞を脱顆粒させ遊離された化学伝達物質が膀胱の炎症を引き起こすと同時にトリプテ-スが線維化をおこし間質性膀胱炎に特徴的な病像を形成することを示唆しました。
間質性膀胱炎は多彩な合併症を有することで知られています。 我々はこれらの合併が単なる偶然ではなく原因と治療に関する重要な点であることを指摘してきました。 1987年気管支喘息を合併し症状が交代現象を呈した患者さんを報告し、1999年にはこのような現象を認めた6人についても報告しました。 1997年片頭痛を合併した人について、肥満細胞を介して両者の関連性を指摘しました。
我々は細菌、間質性膀胱炎の発病のメカニズムを明らかにする研究結果を外国の雑誌に投稿しました。(WorldJUroligy,2007,25;407-413)
その概要は膀胱上皮直下の細静脈のアポトシスが起きるため上皮への血流が傷害され上皮の形成が不十分となり本来の境界膜の機能が損なわれる結果、最近や刺激物が組織内に進入し炎症や痛みを起こすというものです。
これは膀胱組織内に間質性膀胱炎に特異的な所見がないとする今までの常識を覆すとともに、膀胱粘膜透過性亢進による痛みや病状出現の機序を明らかにしたものです。 いわゆる血管の破綻が間質性膀胱炎の大きな原因であると考えます。 そこから治療も自ずと明らかになります。
間質性膀胱炎の研究を開始し、約30年以上経過しました。 この間、進行した患者さんにおいても保存的治療を行い良好な成績を得ています。 完治した方も続々出ています。